
犬が他の犬に慣れるための方法は「仲良く」より「気にしない」から
うちの子が他の犬を見ると固まる、吠える、興奮してしまう…。大切な家族だからこそ「どうにかしてあげたい」と胸がぎゅっとなりますよね。大丈夫、同じ悩みを抱える飼い主さんは本当に多いです。ここでは、犬が他の犬と慣れさせる方法を、やさしく実践しやすい形でまとめました。焦らず、あなたと愛犬のペースで一歩ずつ進めていきましょう。
1. みんなの“あるある悩み”に共感
- 散歩中に他犬とすれ違うだけで吠える・突進する
- ドッグランで固まる/逃げ回る/逆に強気になる
- 多頭飼いを始めたら先住犬が不機嫌に…
悩むことは自然なこと。性格や過去の経験、年齢、体調によって反応はさまざまです。ゴールは「無理に仲良く」ではなく「他犬がいても落ち着いていられる=気にしない」ことです。
2. 専門的なアドバイス(基礎の考え方)
多くの獣医師や行動学の専門家がすすめるのは、段階的に慣らす「閾値(いきち)以下での練習」と、できた行動をほめて強化する「陽性強化」です。社会化は子犬期(目安:生後3〜14週)に進めると吸収が早いですが、成犬でもやり方次第で十分に育て直せます。
注意サインもチェックしましょう:体の硬直、目をそらす、あくび・舌なめずり、尻尾を下げる、毛が逆立つ、唸る・吠える。これらが見えたら距離をとって落ち着ける環境へ。
3. 実践ステップ(今日からできる)
準備
- 高価値のおやつ(茹でささみ等)、Y字ハーネス、余裕あるリード、トリーツポーチ
- 犬が少ない時間帯・場所を選ぶ(公園の外周など)
ステップ0:場所と匂いに慣れる
誰もいない時間に公園を歩き、他犬の残り香に慣らします。匂い探索は不安を和らげる効果が高い活動です。
ステップ1:「見たら良いこと」条件づけ
他犬を遠くに発見(反応しない距離=閾値以下)→名前を呼んでアイコンタクト→おやつ。数秒見ては褒めて離れる、を短時間で反復。距離が縮まりすぎたらサッとUターン。
ステップ2:静かにやり過ごす通過練習
道端に寄って「おすわり・待て・目線」で通過。成功の基準は“静かに通れたか”。完璧な無反応を目指さず、1ミリの落ち着きを大きく褒めましょう。
ステップ3:並行歩行(パラレルウォーク)
寛容で落ち着いた犬と、10〜15m離れて平行に歩きます。慣れに応じて5m→3mへ。真正面の対面は緊張を高めるので、横に並ぶ形がベター。
ステップ4:挨拶は“3秒ルール”
- リードはたるませ、絡ませない
- お尻側から穏やかに嗅がせる
- 3秒で一旦離れる→落ち着いていれば再トライ
ステップ5:ドッグランは最後のご褒美
いきなり放すのはNG。空いている時間に短時間から。フェンス越し観察→中に入る→数分で退出、と成功体験を積み上げます。
4. やってはいけないNG集
- 抱っこで相手犬に差し出す/急な至近距離の対面
- ピンと張った短いリードで引き寄せる
- 囲まれる環境(混雑したドッグランなど)に放り込む
- 長時間のにらめっこ状態を許す
合言葉は「量より質」。1回の良い経験が、たくさんの微妙な経験よりも有効です。
5. 多頭飼いの慣らし方(先住犬も新入りも安心に)
- 最初は別室管理+匂い交換(毛布や寝床)
- ベビーゲートやケージ越しに短時間の対面
- 資源(ごはん・おもちゃ・人の注目・寝床)は分ける
- ルーチンは先住犬を優先しつつ、新入りにも落ち着いた行動にご褒美
6. 忙しくても続けられる習慣
- 1日3分の「名前→目線→ご褒美」ドリル
- 散歩の最初と最後は匂い探索タイムに
- 「Uターン」「待て」「ついて」をごはん粒でミニ練習
7. 安全第一のアイテムとサービス
- 道具:Y字ハーネス、適度な長さのリード、トリーツポーチ、クリッカー、ベビーゲート、クレート、リッキーマット
- サービス:パピークラス・しつけ教室・出張トレーニング。罰や威圧ではなく、褒めて伸ばす方針の専門家を選びましょう。
まとめ
犬が他の犬と慣れさせる方法の核心は「無理をさせない距離」と「できた瞬間を逃さず褒める」こと。あなたのやさしさと一貫した小さな練習が、愛犬の世界をぐっと広げてくれます。今日も“1ミリの成長”を一緒に喜んでいきましょう。
